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介護に役立つレシピ

噛む・飲み込む(咀嚼・嚥下)機能が低下した人の食事の注意

唇やほおや舌も大事な機能

  • 私たちは無意識のうちにものを食べたり飲んだりしていますが、その動作は、歯、唇、舌、ほお、あご、喉などの見事な連携プレーで成り立っています。
  • ものを噛むときは唇を閉じ、舌やほおで食べ物を動かしながら奥歯で噛み砕き、こなれると喉の方に送ります。喉の奥には空気を鼻から肺に送り込む気管と、食べ物を胃に送り込む食道とが隣接しています。食べ物が喉に送られてくると、喉の奥にある喉頭蓋(こうとうがい)が反射的に気管の入口をぴたっとふさぐので、食べ物はうまく食道へと落ちていきます。
  • しかし、高齢になると、歯の欠損や入れ歯の不具合、筋力の低下、病気の後遺症による唇やほお、舌の麻痺などによって、咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)がうまくいかなくなる方も増えてきます。
  • 飲み込むときに喉頭蓋がうまくふさがらないと、食べ物が気管に入りそうになって、むせやすくなります。
  • 気管に食べ物や口の中の細菌などが入り込むことを「誤嚥(ごえん)」といい、高齢者はそれがもとで誤嚥性肺炎を起こす確率が高くなります。誤嚥性肺炎を起こすと、微熱や咳などが続き、ひどい場合は命の危険も伴います。くれぐれも注意しましょう。

その人の機能をよく観察する

  • 下の表に挙げたような現象があると、咀嚼・嚥下機能に支障が出やすいので、よく気をつけてください。
  • 食べ物にむせたり、喉に詰まらせたりすると、その苦しさに懲りて、食べることに不安や恐怖心を抱いたり、食べられないことでイライラを募らせたりする人も多くいます。
  • 心身の状況をよく観察して、対応することが必要です。
■噛む・飲み込む力の低下のシグナル
・歯の噛み合わさる部分が少ない(入れ歯が合っていない)
・食べ物が口の中に長くたまっている
・唇がきちんと閉じられない
・食べ物をよく口からこぼす
・よだれが多い
・唾液を飲み込みにくい
・おしゃべりがしにくい
・食事をするとタンが増える
・むせやすい(水気のあるもの、食べ始めなど)
・喉に詰まらせやすい
・食後に声がガラガラする
・食事中や食後に咳き込む

形を残してやわらなく調理

  • 咀嚼・嚥下機能が落ちた方の食事というと、刻んだり、どろどろにつぶしたり、ゼラチンなどで固めたりしたものを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、かぶやかぼちゃ、芋などは、軟らかく煮るだけで、上あごと舌の先でつぶして食べられる方がいます。
  • なんでも刻んだりすりつぶしたりしてしまうと、味や見た目の点で食欲を失わせてしまうことにもなります。また、普段食をただ刻んでとろみをつけたようなものは、口の中でばらついてしまい、かえって噛んだり飲み込んだりしにくいものです。
  • 人によっては、歯がなくても歯茎で噛める人もいれば、口からこぼしたり、口にため込んだりしながらも、なんでも食べられる人もいます。好きなものなら苦もなく食べてしまう、という人もよく見られます。
  • その人の機能をよく観察し、持てる力をできるだけ生かすことを基本に、また、料理本来の姿や味わいをなるべく生かすことを忘れずに、こちらのような調理の工夫を心がけましょう。
  • 咀嚼・嚥下機能が落ちると水分が不足しやすくなるので、補給が大事です。水にもむせやすい人の場合は、お茶などをゼラチンや寒天でごくゆるく固めると、安心です。
■調理の工夫
切り方の工夫
肉も野菜も繊維に直角に切る。筋をたたく、細かく切り目を入れる。麺は食べやすい長さに切るなど。青菜は加熱前に歯も小さく切ると安心。
加熱方の工夫
加熱時間を長くする、かたい材料は下ゆでする、など。ただしタンパク質は加熱しすぎると固くなるので注意。魚や肉は蒸すと身がふっくらとする。
かたくり粉の活用
煮汁や汁物にとろみをつける、あんかけにする、薄く小さく切った肉や魚にかたくり粉をまぶしてゆでる、など。
とろみや粘りのある食材の利用
かぶや山芋やれんこんのすりおろし、よくたたいたオクラやモロヘイヤや納豆、つぶした芋やかぼちゃ、卵などを、つなぎ材料やとりみ付け材料に使う。
油脂の活用
油、生クリーム、牛乳、練り胡麻などを使って喉のすべりをよくする。
ゼラチンや寒天の活用
やわらかく加熱した材料を、ゆるくかためる。寒天は介護食用のソフトタイプもある。

機能を向上させるサポートも大切

  • 噛む・飲み込む機能は、使わないと更に衰えてきます。ときどき遊び感覚で、口の運動を行ってみましょう。「パタカラ発音」といって、パ行、タ行、カ行、ラ行の発音は、唇、ほお、上あご、舌の動きを高めるのに役立つといわれています。また「アップップー」とにらめっこをしたり、「からせき」をしたりするのも、良い運動です。
  • おしゃべりや笑いは、もっとも基本的な機能訓練の1つです。
  • 食事の前にはお茶や水で口の中をしめらせ、唇の裏と歯の間に舌を入れてぐるりと回すと、唾液の分泌が高まります。
  • 食後しばらくたったら、うがいや歯みがきなど、口腔衛生にも気をつけましょう。

■こんな食材には気をつけて
(噛みにくい、喉につかえやすい、むせやすいもの)

・かたい肉や野菜
・繊維の多い野菜やくだもの
・粘りの強いモチなど
・筋の残るニラやえのきだけなど
(歯に挟まりやすく、口中にたまりやすい)
・胡麻などの小さな粒や刻んだ状態のもの
・水気が少ないパンや焼き芋など
・きな粉のように粉っぽいもの
・さらさらした水などの液体
・海苔、わかめなど(喉に張り付くことがある)
・酢の香りがきついもの
・おかゆのように粒の混ざった液体
・長い麺類
・喉にいきなり入ってしまいやすいナメコ、こんにゃく、
丸い飴など


◆資料提供:女子栄養大学出版部 発行
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