ホーム  >  介護のあれこれ  >  認知症  >  アルツハイマー病

認知症

アルツハイマー病

アルツハイマーの症状

アルツハイマー病とは、未知のメカニズムで大脳の神経細胞が、徐々に壊れていく病気です。アルツハイマー病の初期は、決まった症状の組み合わせが見られることが多いため、臨床的に診断するときには、次の3つの変化に注目します。

  1. 記憶障害

    物忘れとして有名な症状ですが、新しいことを覚えることが出来ないという記銘力の障害が特徴です。「同じことを何度も言ったり、聞くようになる」、「置き忘れ、しまい忘れが目立つ」ようになります。生理的な、つまり、正常な物忘れとの違いが問題になりますが、「食事をしたことを忘れる(昨日の食事の献立を忘れてしまうのは、病的ではありませんよ)」、「毎日、同じものばかり買い物してくる」などと、程度が強いことが特徴です。
    診察では、次のテストを行って記銘力の障害の有無を確認します。
    数字の逆唱:言われた数字を、逆の順序で答えてもらうテストです(例えば2−5−6−3なら3−6−5−2)。逆に言うためには、いったん数字の順序を覚えなくてはいけません。
    5つの物品:時計、鉛筆などの物品を5つ見せて、隠します。しばらくしてから、何があったか答えてもらうテストです。

  2. 見当識障害

    記憶障害が正常な物忘れとの違いが微妙であるのに対し、この症状は明確ですので、アルツハイマー病の診断の有力な手がかりになります。
    時間的な見当識障害:日にちを忘れてしまうことは日常的によく経験することですが、アルツハイマー病では、「月や季節が分からない」、「朝なのか夜なのか分からない」など、時間に関する認知ができなくなります。
    空間的な見当識障害:「今どこにいるかが分からない(自宅なのか、病院なのか)」、「道に迷う」という症状です。見慣れたはずの建物や道が認知できず、目的の場所に行けなくなったり、家に帰ることが出来ず、迷子になってしまいますので、行方不明となる事故が起きないよう注意が必要です。

  3. 性格の変化

    感情、意欲そして判断の機能が破綻してくるので、家族の方は、「うちのおじいちゃん、おばあちゃんは性格が変わったな」という印象を受けます。大別すると次の二つのパターンがあります。
    一つは、自発性が低下し、ぼーとしてくる変化です。「社交的な人だったが、家に閉じこもりがちになった」、「おしゃれだったのに、身だしなみに無頓着になった」、「だらしなくなって、着替えもしない、お風呂に入らない」というように、意欲の低下が前面に出ることもあります。
    もう一つは、被害妄想的な判断になり、自分が疎外されていると思い込むようになることです。この症状が記憶障害と組み合わさると、パワーアップした状態となり、家族の方は大変なストレスを感じるようになります。例えば記憶障害のために食事をしたことや、通帳の置き場所を忘れてしまいますが、そこに判断の障害がからむと、「家の嫁は、私に食事も取らせてくれない」、「うちの家族は私のお金を取ろうとしている」、「誰かが家の中に入って通帳を盗んだ」と主張するようになるのです。しかも、周りに遠慮なく、確信を持って主張する点が特徴で、どんなに説明しても耳を貸そうとしません。

これらの3つの症状に加え、夜間に興奮し徘徊する(夜間せん妄といいます)、計算の障害、洋服が着れない(着衣失行といいます)も見られることがあります。

さらに進行してくると、知能が全体的に低下するようになり、言葉が分からなくなる、言葉の想起が出来なくなる(失語)、人の顔が分からない(失認)、道具が使えなくなる(失行)、知識が低下するなどの多彩な症状が合併するようになります。最終的には、一見覚醒しているように見えますが、言葉を発することも、目的のある行動もとらなくなり、ねたきりとなってしまいます。

アルツハイマー病の治療

著効する薬はありません。現在、脳の神経伝達物質であるアセチルコリンを増加させる薬(アリセプト)が用いられています。確かに、感情面で改善が見られたりすることがありますが、劇的に良くなるわけではありませんし、症状の進行を食い止めることはできません。
身の回りのことは可能な限り自分でするようにしてもらう、教材を与える、手を使った作業をしてもらうなど、日常でもできる様々な工夫を通して、知的な刺激を維持していくことが大切です。
一方、夜興奮したり、騒いだりする、夜間せん妄という症状は、薬である程度はコントロール出来ます。抗ドーパミン薬であるセレネースを用いて興奮を鎮めるようにします。また、睡眠導入薬(ハルシオン、レンドルミン)も有効です。お困りの方は、かかりつけの先生に相談されると良いと思います。