後期高齢者医療制度の基礎知識
制度の目的
わが国の高齢者の医療費は、平成17年度で約10兆円であり、国民医療費全体約33兆円の約3分の1を占めています。急速な高齢化の進展に伴い、今後ますます増大していくことが見込まれています。
後期高齢者医療制度は、わが国が直面している高齢化時代において、国民皆保険制度を将来にわたり維持していくため創設された制度であり、これまで長年社会に貢献してこられた高齢者の医療を、国民共同連帯の理念に基づき、しっかり支えていくことを目的としたものです。
導入にいたるまでの流れ
後期高齢者医療制度の前身である老人保健制度は、昭和58年の制度発足以来、高齢者の医療費について国民全体で公平に負担するという基本理念の下、国民健康保険や被用者保険からの拠出金により、国民の老後における医療の確保に大きな役割を果たしてきました。
しかしながら老人保健制度は、加入する国民健康保険、又は被用者保険に保険料を納める一方、給付は自分が住んでいる市町村から受けるという仕組みとなっていたため、いわゆる現役世代の支払う保険料と高齢者の支払う保険料の負担のルールが分かりにくいといった指摘がありました。
また、市町村にとっては、老人保健制度の保険料を徴収しないことから、高齢者の医療費が増えたとしても、直接住民に対して説明責任を果たす必要がなく、各保険者にとっても、毎年決められた拠出金を拠出するだけであり、制度の運営に直接関与する仕組みとなっていませんでした。
老人保健制度には、こうした構造的な問題があったことから、従来から改革を求める多くの声が上がっており、平成12年には、参議院国民福祉委員会において「老人保健制度に代わる新たな高齢者医療制度等の創設については、早急に検討し、平成14年度に必ず実施すること」との決議がなされました。
その後、社会保障審議会医療保険部会における検討、医療制度改革について広く国民的な議論に供するためのたたき台としての「医療制度構造改革試案」の公表等を経て、平成17年の政府・与党医療改革協議会で取りまとめられた『医療制度改革大綱』において、75歳以上の後期高齢者については、その心身の特性や生活実態等を踏まえ、独立した医療制度を創設し、平成20年度より実施することとなりました。
そして、この医療制度改革大綱を踏まえ立案されたものが、平成18年の第164回通常国会に提出された「健康保険法等の一部を改正する法律案」であり、国会における審議を経て、同年6月14日に可決・成立しました。
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