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寒い冬を快適に過ごす生活術

高齢者の入浴事故を防ぐ

高齢の方が好むことに熱いお湯への入浴がありますが、この入浴が高齢者には危険です。
特に冬季は、高齢者の入浴時の事故が問題となっています。
これは日本特有であり、全身入浴の習慣があまりない欧米などの西洋諸国では極端に少なく、全身入浴の習慣があるアジア諸国でもあまり見られない事例です。
秋田大学が行なった調査によると、冬季に発生する浴室での突然死件数は、調査を始めた平成11〜14年まで年間100人程だった事故件数が平成15年以降急激に増加。被害者の95%以上が60歳以上の高齢者が占め、全体の90%が自宅浴室で事故にあっているとの調査結果で出されています。

温度差をなくすのが肝心です

冬季に高齢者の浴室事故が増加する要因については、温度差による血圧の急激な変化が問題となります。医学的な話をすると、脱衣所の室温が低下している中で衣服の着脱をすることで寒さにより末梢動脈が収縮し、急激に血圧が上昇することとなります。
しかも、高温のお風呂に入ることで交感神経が刺激され、さらなる血圧の上昇を招くこととなります。この後、入浴効果により皮膚や筋肉、末梢神経が弛緩するため急激に血圧が降下します。この時、急に立ち上がったりすると立ちくらみを起こし、最悪意識消失を起こすこととなります。

なお、この急激な血圧変動は高齢者に顕著にみられ、特に注意が必要です。しかも高血圧・糖尿病などを合併している場合、急激な血圧上昇による脳出血の危険性が出てきます。
また、糖尿病による動脈硬化などで血流が減少している方の場合、入浴による血圧低下から狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などを引き起こしやすくなり、入浴中にこれらの症状が発生した場合、最悪浴槽内での死亡事故などが発生する危険性もあります。
また、高温での入浴は血小板の活動を活発化させ血液が凝固しやすくなることに加え、発汗による脱水により血液の粘度が増すことにより血流が阻害されやすくなり、入浴後時間を置いた状態でも心筋梗塞・脳梗塞などの危険性が続くこととなります。

事故を防ぐには

冬季の高齢者の入浴事故は、家庭での簡単な工夫で予防が可能です。

(1)温度差を低く抑える
冬季、温度差からくる急激な血圧の変化により引き起こされる高齢者の浴室事故。予防の為には入浴の前に脱衣所・風呂場を事前に暖めておくことで予防が行なえます。
冬季の運用費や設置工事費用など費用の問題を抜きにして考えた場合、北海道など冬季の寒さが厳しい地域で一般的にみられるセントラルヒーティングで屋内全体を暖めることにより、居室と脱衣所の温度差を抑えることができます。 資金的にセントラルヒーティングなどの大掛かりな工事は無理とい方の場合は、浴室暖房・絶縁処置が施されたパネルヒーターなどを脱衣所に設置することで、温度差を抑えることができます。
ちなみに、地方自治体によっては高齢者福祉サービスとして「ヒーター購入費の助成」などを行っている場合もあります。助成を受けるには自治体が定めた基準がありますので、確認してみましょう。

(2)十分な水分補給を
高齢者は、筋肉量や基礎新陳代謝の低下により、体内の水分量を保持しにくくなります。また、AOL(日常生活動作)の低下や渇中枢の感受性低下により適切な水分補給が行ないにくくなることに加え、失禁・誤飲の心配から水分補給を控える傾向があります。入浴時の心筋梗塞・脳梗塞予防としてこまめな水分補給を心がけましょう。

(3)単独入浴を避ける
どんなに予防対策をおこなっても不幸にして事故がおこってしまう場合もあります。特に浴室での事故は、その性質上音が漏れにくいため事故の発見が遅れがちになります。これを防ぐ為にも、なるべく介助人(家族・ヘルパーなど)が付き添い高齢者1人での入浴はさけましょう。

これ以外にも「早朝・深夜の入浴は避ける」「高齢者の一番風呂を避ける」「湯船につかる時間を短くする」などの予防方法があります。